報道写真の編集者にとって、写真を選ぶ際に4つの基準に従うべきだと言われている。それは、情報的(informational)、グラフィックアピーリング(graphically appealing)、感情的(emotional appealing)、親密性(intimacy)だという。
報道写真にとって、最も基本だが一番大事なのは、やはり情報を伝えること。いかにニュース報道を5W1Hに従い、写真を通じて事実を全面的かつ客観的に伝えることが鍵だと思っている。スポットニュース部門で大賞を輝いたAP通信のロシア大使が暗殺された組写真を見ると、被害者であるロシア大使や暗殺者である警察官、現場にいる市民など、あらゆる角度から物語を描いていることがわかった。

さらに、今回の受賞作品を見てみると、紛争、難民、麻薬、性的少数者、貧困、疾病などをテーマに、それに関連する情報を写真という形で世の中に発信していることがわかった。今回の写真展において、大きなテーマとなっているのは難民問題だ。そのきっかけは、2015年9月にロイター通信が報じたアイランというシリア少年が難民の家族と地中海を渡ろうとした際に溺死した一枚の写真だった。その後、SNSで大いに拡散されて世界に大きな衝撃を与えた。スポットニュース部門の地中海難民の話を見てみると、同じテーマを描いた『海は燃えている』というアカデミー賞受賞作のドキュメンタリー映画を思い出した。

北アフリカから逃げ出した難民や移民は地中海に位置するイタリアの小さな島を経てヨーロッパに逃れていく話だが、途中で亡くなった人が多いという。映画で、島の住民と逃げ込んだ難民は同じ島にいるにもかかわらず、互いに接点のない暮らしをしていることを描いた。難民に無関心の人や国への反発といえるだろう。2016年、日本政府に難民認定の申請を出した人の数は1万人を超えたのに対し、認定されたのは28人しかいない。G7先進国の中に一番少ない。日本では難民のことがあまり知られていないかもしれないが、報道写真の役割の一つとして、知られていない情報や事実を世の中の人に知ってもらうことが挙げられる。今、世界各地で紛争や不公平など様々な問題がまだ起きているが、フォトジャーナリストにとって、写真をメディアとして何を表現したいのか、何を伝えたいのかをきちんと考えないといけない。

人の外見と同じように、絵的に綺麗な写真のほうが人目を引き寄せる。そうしたら内面に気になる。綺麗な写真を撮るには、構図や色、光、動き、表情などの要素を考慮に入れ、うまく組み立てることが必要だ。授業で光を観察しろとずっと言われているが、光があったからこそ色ができた。絵画などの歴史は色彩の歴史を言われているので、いい写真を撮れるにはやはり光をうまく使うことが基本だと思う。フィリピンの麻薬戦争を報じた報道写真家は、光や色を巧妙に使い、深刻なテーマとともに衝撃を与える写真ができた。さらに、色について、情熱の赤や憂鬱のブルーなど人の感情を連想させる機能も持っている。色によって、見る側の感情を煽ることもできる。個人として、モノクロの写真にもすごく気にいているが、それは色を除いたら被写体の表情などのディテールに気づき、より共感できると思っているからだ。もう一点気づいたことは、人物部門の写真には環境ポートレートが多いこと。周りの環境を入れることによってストーリーが補完できると思う。

アメリカ写真家のWilliam Albert Allardは、周りの環境でその人のストーリーを語ることとして有名だ。その人の住むアパート、働く環境、行きつけのバーなどバックグラウンドだけがその人の人生を語られると思う。しかし、故意的に写真に入れることを選ぶと事実を曲げることができるかもしれないので、フォトジャーナリストとして嘘をつかないように注意しないといけない。さらに、編集技術で色を変えたり、トリミングしたりもできるが、本来の事実を変えたらジャーナリズムでなくなるので、写真ジャーナリズムのモラルを守らないといけないと思っている。
続いて、感情と親密性について触れたいと思う。見る側に被写体とのリンクを共感させるには、人間性のものを見せてくれる。人間性の溢れる写真は、私にとって一番感動的な写真である。今回の写真展について、率直な感想は悲しみや恐怖、憤りの感情が多い気がする。落ちた飛行機にニュースバリューがあると言われているからだ。もちろん、衝突や不幸などが大きな衝撃を与えるため人の心を掴みやすいが、しかし喜びの一瞬を見たい人もいるかもしれない。ゲートキーパーと言われるジャーナリストは読者にどのようなストーリーを届けるのかも考える必要がある。
![]()
